可塑剤の移行
この数回は当社の接着剤の選択表を紹介してきましたが、今回からはちょっと専門的な問題を取り上げていきます。
今回は「可塑剤の移行」についてできるだけ分かりやすく説明します。
一般的に建築材料でよく使われているプラスチックスに塩化ビニル樹脂があります。
よく塩ビと呼ばれている樹脂です。ほとんどのプラスチックスは常温で何も加えなければかなり硬く、巾木だとか床材(ビニル床タイル、クッションフロアなど)に使用することができません。クロス等も柔らかく作られています。
どうして硬い樹脂が柔らかくなるのか?
それは可塑剤というものが使用されているからです。
塩ビを加熱すると、軟らかくなってきますが、その段階で可塑剤を入れてやると常温に戻っても硬くならない状態になります。
可塑剤について詳しく知りたい方は以下のアドレスを参照してください。
http://www.kasozai.gr.jp/index.html

- 正常な硬化状態
接着剤にも可塑剤を使う場合もありますが、最近ではほとんど使われなくなりました。
溶剤形接着剤を使用する場合、仕上材に含まれる可塑剤が接着剤層に移行し本来ならば硬くなる接着剤層が何時までたっても硬化しない状態になる場合があります。
これを可塑剤の移行と呼んでいます。
一般に酢酸ビニル樹脂系、エポキシ樹脂系などの接着剤ではあまり問題がありませんが、ゴム系溶剤形接着剤ではよく問題になります。


- 可塑剤の移行がある場合
左の図がその概念を表した物ですが、可塑剤の移行が起こると接着剤がいつまでもネバネバして本来の接着強度が発揮できなくなります。
加硫ゴムシートやポリスチレンフォームに塩ビシートが接触しても可塑剤の移行が起こるといった例もあります。専門家でも事前にどの程度問題になるかはなかなか分かりません。
当社の過去の知見では、クロロプレン系溶剤形接着剤で塩ビ巾木を接着した場合は、可塑剤の移行が起こりやすいとの結果を得ています。(巾木メーカー、材質によって異なります。)
また、それにより仕上材の変色が起こる場合もあります。
塩ビシートを施工した上を加硫ゴムが靴底に貼ってある靴で数日間歩いただけで塩ビシートが変色したケースもあります。
一番確実なのはそのような心配のある場合、30cm角程度の大きさで数日間貼り付け試験をすることをお奨めします。








